(2)情報発信基地として
情報発信基地としての役割を強く意識した運営を行っています(図3)。学会、国際会議、学術誌への積極的な研究発表は、4年間(1996年2月末まで)で総計819件に達しています。しかも、発表数だけでなく、工技院電総研との研究交流による小脳の運動制御機構の研究における理論と生理実験を融合したトランスディシプリナリな成果が英国科学誌ネイチャーに掲載されるなど、質の面でも高い評価を受けています。
主たる研究テーマに関連するワークショップやシンポジウムなどを積極的に開催することによって、研究の成果を世界に問うとともに広く国内外に研究協力ネットワークの構築を行い、このネットワークを活用した研究の加速的推進に努めてきました。
「顔と物体認識」に関するシンポジウムを3回に渡って企画・実施しました。視覚の計算理論、認知心理学、神経生理学などの分野で世界的に活躍している第一線の研究者の参加を得て、顔の認知に関する国際的な研究ネットワーク作りに重要な役割を果しています。また、「音声知覚・生成における生物学的基礎」に関するワークショップを企画・実施しました。本試験研究の研究視点の一つである「人間の音声コミュニケーションを支える音声の知覚・生成能力は様々な感覚と密接に結び付いており、人間の総合的環境把握能力の上に構築されている」という考え方を国内外にアピールし、音声の知覚・生成研究に新しい流れを生み出すことに成功しました。更に、「進化的計算論に関する国際会議」及び「第4回人工生命ワークショップ(Artificial
Life IV)」への積極的成果発表が国際的な関心と注目を集め、当研究所が進化システム・人工生命研究の世界的拠点の一つであることが国際的に認められた結果、「第5回人工生命ワークショップ(Artificial
Life V)」を奈良に誘致することに成功しました(1996年5月開催予定)。