



音声翻訳通信研究所プロジェクト終了
第2研究フェーズのマイルストーン
KDD研究所主席研究員(前ATR音声翻訳通信研究所社長) 山崎 泰弘
当研究所の研究目標は、日常の会話に現れる自然な話し言葉を翻訳するための要素技術とその統合化技術を確立することでした。本研究所は第2フェーズにあたり、マイルストーンとして、具体的なシステムをイメージすることにしました。(1)
マルチメディア翻訳システム、(2)
多言語音声翻訳通信会議システム、(3)
携帯電話音声翻訳システム(下図)です。しかも、それぞれにイラストを1枚づつ用意し、イメージの鮮明化を図りました。多くの研究者が2〜3年で入れ替わる組織において目標を常に同一方向に明示することが必要だったからです。このマイルストーンを1995年、テレコム95(ジュネーブ)で論文“Toward
Cross-Language Global Communications”として発表しました。公言したことになり、身の引き締まる思いでした。
その後、私自身はATRを離れ、外部から研究の進展を期待していました。(1) は1995年、(2) は1999年7月実験に成功していましたが、(3) は発表されていませんでした。
1999年11月、ATR研究発表会に参加した時、デモ会場に招き入れられました。私の内ポケットにあった普通の携帯電話で「今、京都にいます。ホテルありませんか。高の原近くに」と話した途端、英語に翻訳されたのです。正にイラストで描いた携帯電話音声翻訳通信のイメージそのものでした。テレコム95で公言した3つのイメージが全て実を結んだことになり感激しました。マイルストーンに向かって、尽力された研究員の方々と技術支援グループの方々に心から「おめでとう」と申し上げたい。