



音声翻訳通信研究所プロジェクト終了
音声翻訳、人々をつなぐもの
カーネギーメロン大学、カールスルーエ大学 教授 アレックス・ワイベル
新しいミレニアムを迎えようとする今、過去を振り返り、数々の変化に目を向けてみますと、特筆すべきは、この千年に人々、国家、文化が国際化され、その境界が次第に薄れてきたことです。蒸気船からジェット機へ、電報がインターネットにと、技術革新が私達の世界を小さくし、人々の間の距離はますます近くなってきています。
私達は幸運にも、究極の科学技術における架け橋が実現するところを目の当たりにしています。自分自身で動いたり、品物を運ばなくてもお互いに考えと心を近づけることができる技術、会話を翻訳するシステムが、まさにそれが必要となる情報のミレニアムの始まり、その時に登場しました。
音声翻訳通信研究所は、将来に対する鋭い洞察と科学的創意をもって、この分野を開拓してきました。ATRはパイオニア精神あふれるアイデア、概念、ビジョンとリーダーシップ、研究チームの才能、努力、忍耐、それから世界の科学研究コミュニティの友情と支援を受け、夢見て、切磋琢磨し、不可能を可能としました。
この素晴らしいプロジェクトの完成を祝福することは私の大きな喜びです。技術は確立されました。それはもはや概念の域を脱し、実用化が手の届く範囲にあります。大語彙の辞書、頑健な翻訳アルゴリズム、自然な話し言葉、自然な音声合成等が、このシステムを構成しています。長年にわたる研究は、音声認識、音声合成、言語翻訳、言語処理、データベース、インターフェース・デザインおよびヒューマン・ファクターにおいて大きく貢献しました。
個人的にもお祝いを述べさせていただきたいと思います。私はここATRで科学者達と共に研究に専念したことを懐かしく思います。研究機関の緊密な協力は数々の成果を生み、音声翻訳国際研究コンソーシアム(C-STAR)が創設され大きく成長しました。
ATRで多くの革新的なアイデアに触れ、個人的な親交を深め、迅速な発展を肌で感じ、インパクトを与えられたことは実に信じられない胸踊る体験でした。この一連の研究に関わることができたことは大変名誉なことであり、私自身誇りに思っています。