



高度情報社会における社会基盤の確立に向けて、 ATRの研究開発への期待
郵政事務次官 奥山 雄材
今日、21世紀の高度情報社会の基盤を担う電気通信の発展のためには、基礎研究を充実し、創造性に富む基礎・先端技術の開発力を強化することが最も必要とされております。このような折、ATR本研究所が完成致しますことは誠に意義深いものがあり、心よりお祝い申しあげます。
電気通信の基礎技術の研究を推進するにあたりましては、産業界・学界・国などの各分野の研究機関が互いに協調するとともに、積極的に交流を進めて行く必要があります。また、電気通信技術は特に国際的な整合性を重視しなければならない分野であり、諸外国の研究機関とも研究情報の交換、研究者の交流などを積極的に行い、あわせて国際社会に貢献していくことが求められています。
ATRは電気通信分野の基礎的・独創的研究の推進により、我が国の自主技術の蓄積と研究開発面での国際的貢献を行うために産業界・学界が中心となり、郵政省の支援の下に設立された研究所であります。これまで、昭和61年3月に(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATRI)が、また、同年4月に基盤技術研究促進センターから出資を受けた4つの研究開発会社が設立され、大阪市内にあるツイン21MIDタワーに暫定研究所を構え、研究開発を行ってきたところであります。
現在、ATRで実施している通信システムの高機能化・高信頼化技術等の基礎研究、自動翻訳電話の実現のための基礎研究、人間の視聴覚機構の基礎研究、光電波通信に関する基礎研究は、いずれも21世紀の高度情報社会の基盤となる基礎技術であり、着実に成果をあげていると伺い大変心強く思っている次第であります。
また、この度、緑豊かな自然に恵まれた約12haの敷地に最新鋭の実験設備を備えた本研究所の完成により、基礎的・独創的研究を推進するにふさわしい良好な施設・環境のもとでATRの研究活動がますます発展し我が国のみならず世界の電気通信技術の向上に貢献していくことを期待しているところであります。
日裏社長を始めATRの役・職員の皆様方におかれましては、今後、研究活動の一層の推進を図られるとともに基盤センター、産業界・学界におかれましてもATRに対しまして従来以上の御支援・御協力をたまわりますよう、この場を借りてお願い申し上げます。