創立1周年を迎えて





郵政省 通信政策局 局長 塩谷  稔



 この度、(株)国際電気通信基礎技術研究所、並びに(株)エイ・ティ・アール通信システム研究所、(株)エイ・ティ・アール自動翻訳電話研究所、(株)エイ・ティ・アール視聴覚機構研究所及び、(株)エイ・ティ・アール光電波通信研究所の4研究開発会社の創立1周年を迎えられましたが、わずか一年の間に、研究用設備の整備、研究員の増強等着々と研究体制を整え順調に研究開発が進められていることに対し、心から敬意を表するとともにお祝い申し上げたいと存じます。
 さて、申し上げるまでもなく、近年の厳しい国際環境の中で我が国がこれまでの経済的繁栄を維持していくためには、技術立国として基礎的、創造的な研究開発を強化していくことが大変重要になってきております。しかし、残念ながら我が国における電気通信技術の研究開発は、これまで応用・実用化研究に重点が置かれてきたため、基礎的、創造的な分野の研究開発が必ずしも十分でなかったとの指摘がなされてきたところです。電気通信分野における基本的な発明・発見はその多くを欧米に依存してきており、我が国における基礎的、創造的な分野の研究開発の強化が叫ばれています。
 また、近年における我が国経済の飛躍的進展に伴い、国際社会において我が国が果たすべき役割が増大してきておりますが、科学技術の面においても世界を先導し国際社会の発展に寄与することが望まれています。
 このような状況にあって、郵政省におきましては、電気通信分野の技術開発を強力に推進するため各種の施策を展開しておりますが、そのひとつとして基盤技術研究促進センターからの出融資を活用して高度な電気通信技術の研究開発を強力に推進しているところです。
 4つの研究開発会社は、同センター並びに我が国の数多くの主要企業から出資を受けて設立され、現在、知的通信システム、自動翻訳電話、電波や光を利用した宇宙通信等の高度通信システムの研究開発のほか、人間の視聴覚機構のヒューマンサイエンス的なアプローチによる解明とその応用といった、いずれも先端的で、かつ、長期にわたる研究開発に取り組んでおられ、内外からその成果に大きな期待が寄せられているところです。
 郵政省としても高度情報社会の実現の鍵となる電気通信の発展を担うこれら4つの研究開発会社に対し、基盤技術研究促進センターからの円滑な出資が図られるよう今後とも積極的に支援して参りたいと考えております。
 (株)国際電気通信基礎技術研究所及び4研究開発会社におかれましては、設立の趣旨にもうたわれておりますように我が国のみならず世界の電気通信技術の発展のために、5社が一丸となって今後一層研究開発に努められることを切に希望する次第です。
 最後に、21世紀に向けて、(株)国際電気通信基礎技術研究所及び4研究開発会社の今後の益々の発展を祈念して、設立一周年のお祝いにかえたいと存じます。