脳活動イメージングセンタ

脳イメージング研究の支援センタをめざして



脳活動イメージングセンタ長
正木 信夫



 研究支援体制

 ATR脳活動イメージングセングは、ATR内外の研究者に対して機能的磁気共鳴画像法(Functional Magnetic Resonance Imaging: fMRI) による脳イメージング研究を支援する施設として、平成12年(2000年)7月12日にスタートしました。当初より以下の3つの目標を掲げ、現在最もホットな研究分野の一つである脳科学研究を強力に支援しております。

■研究専用のfMRI装置 (図1
 当センタのfMRI装置は島津-Marconi 製 ECLIPSE 1.5T Power Drive 250です。これは病院で通常の臨床診断に利用される、1.5T(テスラ)の静磁場強度を持つ装置と全く同じ機種ですが、fMRI研究用のプログラムが組み込まれ、研究を効率よく実施するための様々な工夫が施されています。

■多様な研究に対応できる周辺装置 (図2
 fMRI研究では視聴覚刺激をfMRI装置による撮像タイミングに同期して提示します。また、被験者の音声・ボタン押し・マウス操作等の反応を記録する仕組みも必要です。しかもそれらが、有機的に機能しなくてはなりません。当センタでは強磁場環境でも利用できる各種の周辺装置をコンピュータ制御し、多様な実験に対応できる体制を整えています。

■充実した支援体制 (図3
 fMRI研究に必要な、研究アイデアの具体化、刺激提示・反応採取プログラムの作成、fMRI実験の実施、統計的分析等のあらゆる場面で、当センタのスタッフは適切な支援を行います。また、スタッフは常に最新のfMRI研究の技術を吸収し、先端的研究が実施できるよう努力しています。


 研究支援活動

 ATR脳活動イメージングセンタが支援する研究はfMRIの技術を用いた脳イメージング研究と、身体各部の解剖学的な形態とその動きの解析を目的とする研究です。また、研究支援の一環として、利用者に最新の研究情報を提供する研究会や講習会も企画・実施しております。

■fMRIによる脳研究への支援 (図4
 絵や文字等の視覚刺激、音声や音楽等の聴覚刺激を提示された時、人間は脳のどこで処理するのか。記憶・学習課題、腕や手先の運動制御課題ではどうか。このような疑問に対する答えをfMRI装置と様々な周辺装置を巧みに組み合わせた実験により探っています。

■身体の形態・動態研究への支援 (図5
 人間固有の能力である音声言語を可能とした発話器官はどのような構造を持ち、ことばを話す時どのように動くのか。当センタで開発した「同期撮像法」から得られる3次元解剖動画像がこの研究に威力を発揮します。

■最新研究情報の提供(図6
 当センタ開設以来、脳研究の最先端を紹介する講演会や、fMRIによる脳イメージング研究に必要な技術に関する講習会等を企画・実施して参りました。今後も、研究支援の一環として、このようなイベントを開催し、最新情報を共有できる研究者間の交流の場を提供していきたいと考えております。