TR-O-0127 :1996.3.15

大西一

高指数A面段差基板を用いた 横型トンネル接合デバイスの研究

Abstract:本研究の目的は、面方位により異なる伝導型を示すSiの両性不純物としての特徴を利用し、段差基板を用いて横型トンネル接合トランジスタを作製することである。このトランジスタの性能は横型バンド間トンネル接合の特性によってほぼ決定される。したがって高性能なトンネル接合を得るためには非常に急峻な横型p-n接合を形成する必要がある。そのため基板面と斜面の面方位により横型p-n接合のI-V特性がどのように変化するか調べた。その結果、急峻な横型p-n接合の形成には以下の2つの条件が必要であることが分かった。 ①n型となる結晶面上でのGa原子のマイグレーション長がp型となる結晶面上よりも長いか、両者で等しいこと。 ②斜面部の表面モホロジーが良好であること。(これはファセットの形成により実現される。) この2つの条件と、それぞれの面のなす角度を考慮した結果、最適な面の組み合わせは(311)A-(411)Aであると考えられる。実際に(311)A段差基板を用いた横型トンネル接合ダイオードでは、通常の縦型トンネルダイオードと比較してピーク電流密度、ビークバレイ比共に全く遜色の無い特性が得られた。また、(411)A段差基板を用いて横型トンネル接合トランジスタの室温動作を確認し、段差基板を用いることで多機能なトンネル接合トランジスタが簡単なプロセスで作製できることを示した。