TR-O-0067 :1994.3.31

村上康

スロット結合型円形マイクロストリップアンテナの端子間相互結合特性

Abstract:スロット結合型マイクロストリップアンテナは小型・低姿勢であり、多層構造に適している。 またアンテナ部と給電線路部が接地導体に形成されたスロットによってのみ結合されるため、 アンテナ部と給電線路部が独立に設計することができるために、将来のアクティブアンテナ用素子アンテナとして有望である。 一方、移動体衛星通信用アンテナにおいては円偏波励振が大きな問題である。円偏波の軸比を広帯域にするためには、互いに直交する方向から90度位相差をつけて励振する直交2点給電を行う必要がある。この際、端子間の相互結合により励振される円偏波の軸比が劣化することが知られている。しかしながら、スロット結合型マイクロストリップアンテナの端子間相互結合特性について詳細に検討した例はみられない。 本稿においては、まず始めにスロット結合型マイクロストリップアンテナにおいてスロット の位置と励振される高次モードとの関係を理論的に明らかにし、加えてこの結果をもとにスロット結合を用いた2周波共用マイクロストリップアンテナを提案している。続いて直交2点給電したスロット結合マイクロストリップアンテナの端子間相互結合特性について、スペクトル領域法を用いた理論解析及び実験により検討を行い、種々のアンテナパラメータの端子間相互結合特性に与える影響について明らかにした。