TR-O-0049 :1992.7.21

大滝幸夫

4mφ大型球面走査アンテナ近傍界測定システムの開発とその評価

Abstract:球面走査によるアンテナ近傍界測定では、測定装置の基準軸調整(アライメント)での誤差により、求められる遠方界特性の精度が大きく劣化するので、高精度 のアライメントが必要である。従来のアライメントでは、特別にタワーを設置 したりアライメントの基準を複数個規定することが必要であり、所望精度を得る までの手順が煩雑であった。 本報告では、比較的簡便な手順で精度よくアライメントが行える手法として、 1基準軸・1タワー式の手法を提示した。この手法ではアライメントの各段階で用いられる基準軸が1つで済む他、光源を有するミラーを用いることによりアライメントの基準点(ターゲット)の確認を容易にし、アライメントの効率化を図って いる。また、この手法を採用した球面走査近傍界測定システムを開発し、X帯低サイドローブアンテナ及びL帯広角指向性アンテナ(直線偏波及び円偏波アンテナ) を用いてシステムの測定性能を評価した。その結果、高精度アンテナ測定に必要 なアライメント精度を実現する手法として本アライメント手法が有効であること が実験的に明らかになった。また、遠方界測定により得られた放射パターンとの 比較により、球面走査近傍界測定で求められたパターンはピーク利得から-40dBのレベルまでよく一致することを確認した。特に、広角指向性アンテナにおい ては±120°までの広角にわたり一致するパターンが得られた。