TR-O-0048 :1992.7.21

大滝幸夫

球面走査アンテナ近傍界測定におけるアライメント誤差の影響

Abstract:平面や円筒面走査によるアンテナ近傍界測定では主にスキャナ装置の機械精度 によって測定システムの性能が決定されるが、球面走査の場合には人手を介した測定装置の基準軸の調整(アライメント)により性能が決定されるので、アライメント誤差の評価・解析は重要である。このアライメントの際には個々の誤差量と遠方界測定精度との関係を定量的に明らかにし、遠方界測定精度に大きな影響を及ぼす誤差要因を把握することが必要となる。 本報告では、ペンシルビーム指向性及び広角指向性を持つ典型的な2つのアンテナを対象に測定系におけるアライメント誤差とアンテナの測定精度との関係を 計算機シミュレーションにより検討している。 第1章では、本研究の背景について述べる。 第2章では、計算機シミュレーション乃モデルと方法について述べる。 第3章では、第2章で述べたモデルと方法により個々の誤差が生ずる場合の遠方界特性を求め、アンテナ測定精度を低下させる主要な誤差要因を示す。 第4章では、第3章の結果をもとにアライメント誤差量と指向性利得及び第1サイドローブの誤差量の関係を最小2乗法により求め、所望精度で遠方界特性を測定するためのアライメント誤差の許容値を算出している。また、X帯及びL帯での 近傍界測定結果を用いて本シミュレーション結果の妥当性を示す。 第5章では、本研究のまとめとして、得られた結果を総括し、今後の課題を述べる。