多賀登喜雄
多重伝搬路内におけるアンテナ特性の解析と多重波干渉除去技術への応用
Abstract:多重伝搬路内で用いられる移動体アンテナの特性解析結果について報告すると
ともに、アンテナ系による通信品質改善技法(平均SNR劣化対策,ダイバーシチに
よるフェージング除去)の概略について記す。多重伝搬路内での移動体アンテナ
の重要な特性である平均実効利得並びにアンテナダイバーシチ枝の相関特性の解
析法を提案し、それら特性の伝搬環境パラメータ依存性を明らかにしている。将
来の本格的なパーソナル通信においては、人が携帯することによって生ずるア
ンテナの指向性変動がアンテナ特性劣化の一要因となるが、本報告では逆に伝搬
環境パラメータを積極的に利用することによりアンテナの指向性変動に依らず一
定の平均実効利得を実現することや低相関なアンテナダイバーシチ枝を得ること
ができることを理論的に予測している。また、900MHz帯における実験により解
析結果の妥当性を検証している。これら特性は今後本格化すると思われるディジ
タル携帯通信方式において、平均SNR劣化対策及び効果の高いアンテナダイバー
シチシステムの実現に有効となろう。
最後に、移動通信において信号伝送品質を劣化させる多重波干渉を改善する技
術について報告者の基本的考え及び報告者が”干渉除去技術の研究”として行った
他の研究テーマの経過と今後の課題について述べている。