TR-I-0126 :1989. 12

阿部匡伸

言語にわたる声質変換

Abstract:言語わたる声質変換の最終目的は、自動翻訳された音声(英語)に話者(日本人)の 個人性を付与することである。基本検討として、日本語と英語のバイリンガル 話者の音声を分析して、以下のことが明らかとなった。 ・バイリンガルの発声した英語と日本語は、2名の日本人の発声した日本語と 比べて、スペクトルの広がりは小さく、スペクトルの分布も近い。 ・英語に特徴的なスペクトルは、/r/、/æ/、/č/、/š/ などの限られた音韻に現 れる。 ・英語の静的なスペクトル特徴は上述のように明らかであるが、聞こえの点 ではその差は少ない。 この結果をもとに言語にわたる声質変換モデルを考を提案し、変換実験を行っ た。その結果、英語の音韻了解性を保存したまま日本人の声質を得ることがで きた。また、言語にわたる声質変換モデルのための尺度を提案し、有効に使用 できることを確認した。