TR-C-0070 :1991.11.12

伴野明,岸野文郎

視点及び視線検出のための特徴点実時間抽出処理と高制度化の検討

Abstract:本資料では、視点の検出を透視投影表示に、また、視線の検出を表示画面の直接指示に利用する場合を想定して、これら検出に必要な眼球の特徴点を画像処理により抽出し、画像上の位置を実時間で抽出する手法、及び、特徴点の中心位置を高精度で計算する手法について述べる。特徴点としては、瞳孔、角膜反射像、顔マークを対象とし、近赤外照明を用いてこれらを撮影した。近赤外照明は、眼への生理的影響が懸念されるため、少ない光エネルギーで効率良く撮影する方法を検討した。瞳孔の抽出では、眼底反射光を捉える撮影方法を用いた。瞳孔像の輝度は波長が短い程高い、また、長い波長は輝度には、あまり寄与しないため遮断するのが望ましい。また、外部照明の影響を受けずに、瞳孔を安定に抽出するためには、瞳孔が明るい画像と暗い画像を同時に撮影し、差分処理する方法が有利であり、このために、波長が僅かに異なる照明光を利用した。角膜反射の抽出では、偏光照明を利用した。反射光の中から偏光成分を遮断した画像と通過させた画像を同時に撮影し、これらを差分処分することにより角膜反射像が強調され簡単に2値化できる。各々の特徴点の抽出に必要な差分処理、2値化処理、及び重心位置計算は、パイプライン画像処理装置を用いて行い、40ms以下で実現した。特徴点の中心位置検出精度を上げるため、楕円近似を適用し、シミュレーション実験を行って考察し、視点・視線検出に必要とされる精度が得られる見通しを得た。