TR-AC-0028 :1999.3.12

大西一

高指数A面段差基板を用いた 横型トンネル接合トランジスタの研究

Abstract:MBE法によってGaAs(N11)A面(N<4)基板上にSiドープGaAsを結晶成長すると、得られる成長層 の伝導型は基板面方位および成長条件により異なることが知られている。この性質を利用すると、段 差基板上にSiドープGaAs層を成長するだけでバンド間トンネル接合を形成することができる。通常 のトンネル接合は縦方向(基板に垂直方向)に形成されるが、段差基板を用いた方法では横方向(基 板と平行方向)のトンネル接合が形成される。この横形トンネル接合近傍にゲート電極を形成するこ とで、高機能デバイスである横型トンネル接合トランジスタが実現可能である。この方法では再成長 法などを用いる必要が無く一回のMBE成長でトンネル接合が形成されるため、大きなピーク・バレイ 比を持つトンネルトランジスタを簡単なプロセスで実現できることが特徴である。横型トンネル接合 を形成するにはGa原子のマイグレーションを考慮して段差基板の面方位を選ぶことが大切であるが、 本レポートでは(311)A面-(411)A面段差基板を用いた実験の結果、横型トンネル接合トランジスタの 室温動作を実現した。また、ゲート電極をp型層上に形成することによってp型トンネルトランジス タを、n型層上に形成することによってn型トンネルトランジスタを作製できることを示した。p型 トンネルトランジスタとn型トンネルトランジスタではゲート電圧に対するトンネル電流の変化が反 対になるため、p型とn型のトンネルトランジスタを混載することによって回路設計の自由度向上と 相補型動作の実現が可能であり、横形トンネル接合トランジスタは次世代のデバイスとして有望であ る。