TR-A-0171 :1993.3.23

草川直樹,本多清志,垣田有紀

外舌筋収縮力空間における調音軌道の作成

Abstract:舌運動において主要な役割を果たす4つの外舌筋は、2組の拮抗筋に分けられること が知られている。この性質に基づいて外舌筋の収縮力空間を定義し、外舌筋の協調運動 を母音調音時の筋電信号を用いて調音軌道として調べた。その結果調音軌道の長さは基 本母音と弛緩・短母音の違いである調音の持続時間の長短と非常に良く一致し、軌道の 移動する方向や形状も舌の口腔内での位置や移動を良く表した。さらに、中枢での運動 目標が調音器官の物理的な運動として実現されるとする仮定に基づいて、調音軌道を中枢での運動目標とみなして検討した。その結果、母音の分布が聴覚空間、運動目標空間、 運動座標、音響空間の全てにおいて共通のあるいは相似のパタンとして見なすことがで き、運動制御系にとって非常に合理的、かつ、都合がよい状況を実現できる可能性を得 た。