TR-A-0126 :1991.10.14

加藤隆仁

手書き文字品質の定量評価

Abstract:高認識率の手書き文字認識装置の開発には文字変形への対応 が大きな問題である。ここでは手書き文字の変形に雑音、かすれ、つぶれ 等を含めて文字品質と呼ぶが、この文字品質を定量化することによって、 文字認識技術の評価が可能となる。文字品質定量化のためには、その尺度 の検討が重要であるが、それに関する研究はこれまであまり多く行われて いない。本論文で問題とするのは、手書き文字の品質を反映する定量化尺 度とそれによる文字品質の定量化である。 まず、人間がどのように文字品質を決定しているのかを調べることによ って、手書き文字の品質の決定要因を分析した。この結果、人間は共通の 評価基準を持っていることが分かった。また、人間は手書き文字の品質を 再現性高く安定して評価できることが分かった。更に、人間の文字品質の 評価特性と文字品質の決定要因の分析について述べ、品質決定要因の定量 的評価尺度を提案した。すなわち、(a)ストロークの分布(b)黒画素 の分布(c)線の太さ(d)縦横比(e)バランスを反映した品質評価尺 度である。最後に、これらの定量的評価尺度を用いて、手書き文字の品質 を客観的に評価できることを示した。客観的な定量評価を行った結果は、 人間による評価と同等の評価ができた。

Key Word : Character Quality, Quality Evaluation, Hand-written Character, Optical Character Recognition, Pattern Recognition