TR-A-0030 :1988.8.18

山田玲子,平原達也

リスプマシン上の音声処理ユーティリティ — SPIRE, syhthesizer, PEF入門 —

Abstract:本稿は聴覚研究室のリスプマシン(Symbolics 3650、3670)上にinstallされ ている音声分析・合成関連のソフトウェア、SPIRE、Synthesizer、PEFを使いこ なすための手引書である。 これらのソフトウエアは、MITのSpeech GroupのV.W.Zueの指導の下で同グ ループの人々によって開発されたものであり、リスプマシンの持つ優れたヒュー マンインタフェースを活用した比較的ユーザーフレンドリなソフトウエアツール である。従って、リスプ及びリスプマシンに関する知識がほとんど無いユーザで あっても、本稿を片手にリスプマシンの前に座って1時間もいろいろと操作して みれば、音声データの収録、分析、フォルマント合成方式による合成音の作成、 聴取実験のための刺激音系列の作成、およびそれらのD/A出力を自由自在に行 えるようになるであろう。以下、 第2章では、リスプマシンを使用する際に最低限必要な知識と操作方法について 概説する。 第3章では、上述したソフトの核となるソフトウエアSPIREの基本的機能と操作 方法について概説する。 第4章では、Klatt型のフォルマント音声合成ソフトウエアSynthesizerの機能 と操作方法について詳説する。 第5章では、聴取実験のための刺激音系列作成ソフトウエアPEF(Perceptual Experiment Facility)の機能と操作方法について概説する。 第6章では、リスプマシンと他のUNIXマシン(VAX、Masscomp)との間での音声 データファイルの転送方法について詳説する。 第7章では、リスプマシン上のエディタZmacsを使いこなすのに最低限必要な知 識と操作方法について概説する。 なお、リスプマシンは奥が深くその全てをここで説明し尽くすことはできない。 心ある読者は、その道の先達に学ぶか自らマニュアルを読み進み、さらに理解を 深めることをお勧めする。また、SPIRE、Synthesizer、PEFはそのソースリスト があるので、それぞれの機能に満足しない読者、腕に覚えのある読者は自らソー スを読み改良を加えることも可能である。