最近思うこと

(株)国際電気通信基礎技術研究所 総務部長 石川 克己



  世界的に暗いニュースの多い昨今である。特に日本に於いては、経済は閉塞状態にあり、出口は見えず、又それに起因するとも思われる事件が数多く発生しており誠に残念である。そういう中で、米大リーグのマーク・マグワイア、更にサミー・ソーサ選手の37年振りのホームラン新記録更新は、全米がこの快挙を祝福し熱狂したに止まらず、全世界に明るい話題を提供してくれ、又元気付けてくれたと思う。日本国内関連では、サッカーの中田選手が、晴れてイタリアの舞台に立てるようになり、いきなり2得点という華々しいデビューをしてくれた。大きく成長し2002年のワールドカップには、日本代表として大いに活躍が期待されるところである。サッカーファンの一人として夢と希望をもって見守ってゆきたいと考えている。こういった明るいニュースも一つのバネとして一日も早く活気のある世の中になってもらいたいものである。
 そういった状況の中で、ATRは創立13年目にあり、数々の先人達のたゆまぬ努力のお陰で、今や世界のATRに成長したと思える反面、この過去に例を見ないとも言える程の厳しい状況の中で反省し、変わらねばならない点もいくつかあると考えている昨今である。
 その一つは、出資会社へのこれまで以上の情報発信だと考えている。幸い企画部門で、株主総会の研究状況報告会の実施、また本年の研究発表会に合わせた出資会社との意見交換の場の設定、或はインターネット・ホームページの充実等々計画中であり、出資依頼担当部門として大変有難いと思っている。これらを利用して出資窓口へも従来以上にタイムリーな情報発信の努力をしてゆきたいと考えている。
 その第二は、出資会社、特に出資窓口への研究成果、或は研究目標のより分かりやすい説明に努力したいと考えている。私の勉強不足、理解不足もあると思うが、ややもするとATRの研究は、かなり説明しにくく理解してもらいにくい内容がままあり、その研究の「真価」が分かってもらえないとしたら誠に残念である。これは私が社内担当部門に「ピカッと光る(こう言っては失礼だが)素人分かりのする言葉で研究成果、研究目標を示して欲しい」と常々お願いしているところでもある。物事は単純で分かりやすくないといけない。これは私の持論である。私自身も経験があるが、自信がない程話を複雑にし、理屈を言うものである。
 近々、外部のシンクタンクを借りてATR長期ビジョンの策定がなされる予定になっているが、その中でATRの強みと弱みの客観評価を分かりやすく行なって欲しいと依頼しているところでもある。それが世の人にATRを評価してもらう一つの方法だとも考えている。
 いずれにしても極めて厳しい状況の中で、ATRも節目を迎えつつある。こういう時であればこそ尚一層出資会社を始めとする、お世話になっている皆様に労を惜しむことなく、ATRの真価を私なりにPRしてゆきたいと考えている。