人の声を十分に聞きとれなくても翻訳できますか?
−音声認識の正解部分を特定しながら部分的に翻訳する−




(株)ATR音声翻訳通信研究所 第三研究室 脇田 由実、飯田  仁



 音声翻訳システムを実現するためには、間違いなく聞きとり翻訳する技術が不可欠です。しかし、もし間違って聞きとってしまったら、誤った翻訳をせず、なるべく正しく意味が伝わるように翻訳する技術がさらに必要になってきます。従来ATR音声翻訳研究所では、話し言葉を翻訳するために、話し言葉の表現とその対訳を学習しこれをもとに翻訳する手法を開発してきました。今回、この対訳用例と入力文との意味的な類似性を用いることで、誤りを含んでいる音声認識結果から正しい部分を特定し、特定された部分のみを翻訳する部分翻訳技術を開発しました。この方法により、従来は適切に翻訳できなかった誤認識文の約半数に対し、意味の通じる翻訳結果を出力できるようになり、新しい音声言語処理技術にまとまっていく可能性がでてきました。


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