〔例1:国際会議に関する問い合わせ〕 P:質問者 S:国際会議事務局 P1:もしもし、通訳電話国際会議事務局ですか? S2:はい、そうです。P3:会議に申し込みたいのですが。S4:はい、登録用紙はすでにお持ちでしょうか? P5:いいえ、まだです。S6:分かりました。それでは、こちらからお送り致しますので、お名前とご住所をお聞かせ下さい。 |
〔例2:朝日新聞1986年〕 私は今年から年金生活に入ったが、年金に対する源泉所得税はいうまでもなく、住民税さては国民健康保険税に至るまで、容赦なく徴収されている。年金額はサラリーマン時代の給与と同様、全く透明であり、お目こぼしのありようもない。 |
〔例3〕形態素を指定した検索 〔検索したい内容〕 動詞+終助詞「か」(疑問、依頼などを表す)のパターンが実際の文でどのような表現になっているかを調べたい。〔検索方法〕 動詞と終助詞「か」の間に2つ以下の形態素をはさんだパターンを検索します。次のようにコマンドの指定を行います。Input Data >>mv+*<3+かfp ここで、下線部がユーザの入力するコマンドで、また各記号は以下の意味です。mv:本動詞 *<3:2個以下の任意の形態素の並び かfp:終助詞「か」 〔検索結果〕 条件が一致した以下のようなパターンが出力されます。(1)発表なさいますか? ITEM:本動詞 五段 連用 なさい ITEM:助動詞 終止 ます ITEM:終動詞 か (2)何時頃終わる予定ですか? ITEM:本動詞 五段 連用 終わる ITEM:普名詞 予定 ITEM:助動詞 終止 です ITEM:終動詞 か 〔説明〕これから、 (1):「する」の尊敬語「なさる」+丁寧を表す助動詞「ます」+「か」 (2):本動詞「終わる」+アスペクトを表す名詞「予定」+「だ」の丁寧語「です」+「か」 などのパターンが存在することがわかります。このようなパターンの調査をもとに、必要な文法規則を作成することができます。また、このような品詞の接続状態の統計量を求めれば、これから確率的な文法を作ることもできます。 |
〔例4〕格関係などを利用した検索 〔検索したい内容〕 「教えて欲しい」の言い方にどのようなパターンがあるのか。また目的語にどのような単語がくるのか。さらに英語での表現の違いを検索したい。〔検索結果〕 お名前を 教えていただけますか Give me your name, please 取引銀行と口座番号を 教えていただけますか Please tell me your bank and account number 参加の手続きについて お教え願いますでしょうか How do I register? 申し込みの方法を 教えてください Could you give me how I can apply? 〔説 明〕 以上の結果から、以下のようなことが分かります。(1)丁寧を表すのに、日本語では「下さい」、「いただけますか」など種々のパターンがある。英語にも「Please 」、「Could you 」などパターンがあるが、何も付けない場合もあり、ここでの例では両者の間にあまり厳密な対応はみられない。(2)「教える」の目的語には、「名前」などの普通名詞の他に、「参加の手続き」、「申し込みの方法」などのような(サ変名詞)+{格助詞「」}+「方法、手続き」などのものがある。前者の場合、「tell me, give me+(目的語)」と訳せばよいが、後者の場合は「tell me + how 」や、「How do I ?」のような疑問文に訳す必要がある。(注){ }は省略可能であることを示す。 |