TR-O-0137 :1996.3.19

澤田久

自己発振型光マイクロ波ミキサ

Abstract:ATR光電波通信研究所では、将来の移動体通信システムとして光ファイバミリ波リンクの検討を進めてきた[1]。これはミリ波無線通信技術と光ファイバ通信技術の融合であり大容量、高速移動通信システムを実現するための重要な技術であると考えられる。 光ファイバミリ波リンクでは、無線部分で使用するミリ波信号により変調された光を光ファイバにより伝送し、これを受けて無線基地局でミリ波に変換して送信する方法[2]と、ファイバ中は中間周波数で変調された光を伝送し、無線基地局においては電気信号への変換とミリ波への周波数変換を行なう方法[3]が考えられる。ミリ波を直接伝送する前者の方法と比較して、中間周波数で伝送する後者の方法は、無線基地局に周波数変換器が必要となる反面、電気/光、光/電気変換部に要求される帯域は狭くなり、LD直接変調が可能となって制御基地局の構成が簡単になるという利点がある。したがって、中間周波数で変調した光信号を伝送する場合、無線基地局の小型化が重要になってくる。 そこで単一のトランジスタに光検波、発振、周波数変換の3つの機能を集約した、自己発振型光マイクロ波ミキサ(以下sooemixと表す)を提案し、中間周波数帯の強度変調光を検波し、ミリ波帯に近い周波数への周波数変換が可能であることを実証した。 本テクニカルレポートはHBTを用いた自己発振型光マイクロ波ミキサの設計および特性評価に関してまとめたものである。