TR-O-0134 :1996.3.18

藤田和久

単一ドーパントSiのみを用いたGaAs(111)A段差基板上 横方向サブミクロンキャリ閉じ込め構造のMBE成長

Abstract:近年微細構造作製技術の発展にともない、量子細線、量子ドット等の量子ナノ構造のデバイス応用の研究も盛んになっている。量子ドット構造においてはエネルギー準位が完全に離散化されるためデルタ関数状になり、レーザーに応用した場合にしきい値電流の温度依存性の著しい改善が期待できる等の特徴がある。 本報告では、まずGaAs量子構造についてその作製および評価技術について紹介する。さらに、GaAs高指数A面(特にGaAs(n11)A (n≦3)面)は、(100)面上GaAsのMBE成長においてn型ドーパントであるシリコン(Si)が両性不純物として働くという特徴を持っているが、この特徴を活かしてドーパントSiのみを用いて成長したGaAs(111)A段差基板上の横方向GaAs p-n接合によるサブミクロンキャリア閉じ込め構造について述べる。また、サブミクロンサイズの(111)A段差基板上に成長したAlGaAs/GaAs単一量子構造においては、(111)A微小領域からの発光のピーク波長の横方向の変調が見られ、キャリア閉じ込めだけでなく、光学的閉じ込めにも有効であることを示す。