TR-O-0126 :1996.3.15

平井学

GaAs(111)A基板における成長前表面処理と その表面状態の研究

Abstract:成長前表面処理のうちウェットエッチング処理および熱クリーニング処理を取り上げ、各処理後の基板表面状態についてAFMを用いて詳細に調べた。硫酸系エッチャントを用いた高指数面のウェットエッチング処理においては基板上の原子ステップ密度が高くなるにつれてエッチング処理後の基板表面上のAsに関する突起の数も増加した。一方、アンモニア系エッチャントを用いて処理した場合、突起の数と原子ステップ密度の間には硫酸系エッチャントで処理した場合に見られる関係は無かった。これらの結果は硫酸系エッチャントは原子ステップ上のGa原子を選択的に攻撃するためであり、また、アンモニア系エッチャントを用いた場合では基板表面の極性を反映してエッチングが進むためであると考えられる。熱クリーニング処理後の(111)A基板表面はクレータ上のAs抜けが見られるが、これらは熱クリーニング処理前の基板表面粗さと表面原子構造を考慮することにより説明できる。