TR-O-0106 :1996.3.5

多賀史江

レーザマイクロビジョンの高速高分解能信号処理法

Abstract:本報告では微細な内部構造をもつ対象物の内密を透視し,像再構成を行うレーザマイクロビジョン[1,2]の高速化および高分解能化を目指した信号処理法について述べる.ここで分解能とは全ターゲットを正しく認識できるターゲット感覚とする.本研究においてはまず,すでに確立された手法である信号処理方法であるMUSIC法を適用した.さらにMUSIC法によって推定不可能となる部分についてさらなる高分解能化を目指し,その補助的な方法として動的計画法とMUSIC法の組み合わせによる手法を提案した.この手法によって限界分解能の向上が可能となったが,推定精度が動的計画法のそれと同じであることが分かった.これはMUSIC法の推定結果が正しい値であるかどうかの判別がつかないために,MUSIC法の推定結果が正しい値でない場合にはその結果を利用した動的計画法の結果もまた正しい値を示さないということによるものであった.動的計画法とMUSIC法との組み合わせ法については付録に示すそこでMUSIC法の推定結果自体の向上を目指して空間平均法に対する考察を行い,適応ウエイトMUSIC法を提案した.適応ウエイトMUSIC法では安定かつよリ高分解能な推定を行うことが可能となったが分解能の面で同程度であり,適応ウエイトMUSIC法よリ高速であるK-MUSIC法の考案によリ,本研究はK-MUSIC法の特性向上に傾注した.その結果,よリ高速かつよリ高分解能なF-K-MUSIC法を提案した.本報告ではレーザマイクロビジョンで得られる受信データの説明およびそれに対する信号処理方法として適応ウエイトMUSIC法およびF-K-MUSIC法の提案を行う.