TR-O-0104 :1996.2.27

土居義晴

Superresolution PN Correlation Method (SPM)の 多重波遅延時間の分解能特性に関する研究

Abstract:広帯域ディジタル無線通信において、多重遅延波は伝送品質を劣化させる大きな原因である。この多重遅延波を測定する方法としてPN符号相関法が一般的となってきている。ところがPN符号相関法はチップ長より短い時間間隔で到来する遅延波を分離できない。しかも、PN符号のチップレートを上げる、すなわち拡散帯域を拡げることは容易ではないため、従来のPN符号相関法では測定対象によっては必要とする分解能が得られない場合が有る。そこで、高い分解能が必要とされる場合でも、十分な分解能を得るために、当研究所からPN符号相関法にMUSIC法とスムーズィング法を組み合わせた高分解能推定法(Super-resolution PN correlation Mehod: SPM)が提案されている。 しかしながら、その分解能特性に関する詳細な検討はいまだ行われていない。 本論文ではまず、計算機シミュレーションを用いて、SPMの分解能を明らかにし、各種パラメータに対する分解能特性を計算した。その結果、SPMはPN符号相関法に比べて数十倍程度の分解能を有し、測定時のパラメータを変えることで、さらに高分解能化出来ることが分かった。その後、簡易な実験システムを構築し、SPMの分解能特性を検証した。その結果、計算機シミュレーションで明らかにされた分解能と同程度の分解能をSPMが有することを検証出来た。