TR-O-0093 :1996.1.17

細田誠,冨永浩司,渡辺敏英

ワニエ・シュタルク局在効果を利用した 半導体光素子、WSL-SEEDの動特性解析[III]

Abstract:本報告では、ワニエ.シュタルク局在効果型Self-Electro-optic Effect Device (SEED)素子の、パルス光入射時における光吸収飽和特性がキャリアー輸送特性の観点から述べられている。このキャリアー輸送特性の解析はWSL-SEEDのみならず、種々のワニエ・シュタルク型の非線形電界吸収効果を有する半導体光変調器等の高い光強度下や高繰り返しレートの超高速動作時の動特性解析において重要である。それらキャリアー輸送特性に関する異常性の多くは超格子内に部分的に生じた空間電荷による電界遮蔽効果に起因していることが見出だされた。本報告においては、ワニエ.シュタルク局在効果型を 示すような短周期超格子内における種々の空間電荷遮蔽に伴なう新に発見された新規な現象を解説し、その原因を解明する。 これらの超格子内における動的な効果はSEED以外にも種々の量子井戸を使用した電界吸収型光変調器の動特性解析に対しても重要な知見を与えると思われる。その他に、 GaAs/AlAs超格子内ではバリアー中に存在するX点の影響もキャリアー輸送特性に重要な影響を与えることが発見されており、それらについてはひき続き刊行されるATR技術研究報告書(半導体光素子,WSL-SEEDの動特性解析[IV])を参照されたい。