TR-O-0092 :1996.1.17

細田誠,冨永浩司,渡辺敏英

ワニエ・シュタルク局在効果を利用した半導体光素子、WSL-SEEDの動特性解析[II]

Abstract:本報告では、ワニエ.シュタルク局在効果型Self-Electro-optic Effect Device (SEED)素子における、CW光入射時における光吸収飽和特性が述べられている。この光吸収飽和特性の解析はWSL-SEEDのみならず、種々のワニエ.シュタルク型の非線形電界吸収効果を有する半導体光変調器等の高い光強度下や高繰り返しレートの超高速動作時の動特性解析において重要である。また、光吸収飽和とキャリアー掃き出しに関する最近の研究動向も本報告中に付した。 上記に加え、その光吸収飽和特性を積極的に生かすことにより、ワニエ・シュタルク局在効果を利用したSEED素子を使用して全光型の光微分器を実現できることが初めて発見され、このような機能の実現もWSL-SEEDならではの多機能性である。本報告においては動作原理の解析、およびそれに関する静的な空間電荷遮蔽の物理が解説されている。 また、このように単一のSEED素子を用いて透過光強度の状態をスイッチングできることはSEEDをメサエッチング等の工程無しにpixelizeできることを示しており、いわゆるnon-pixelized SEED素子として使用可能であり、かつ従来のこの型のものと比べ高いコントラスト比が得られるという特徴も持っている。 これらの静的な効果の他に、動的な空間電荷遮蔽効果もWSL-SEED内には生じ光吸収飽和にいたるが、それらについてはひき続き刊行されるATR技術研究報告書(半導体光素子,WSL-SEEDの動特性解析[III])を参照されたい。