細田誠,川島健児,富永浩司,渡辺敏英
ワニエ・シュタルク局在効果を利用した
半導体光素子、WSL-SEEDの動特性解析[I]
Abstract:本報告では、非線形電界吸収効果を利用したSelf-Electro-optic Effect Device (SEED)素子を直列に接続したS-SEED(Symmetric-SEED)構成における非線形電気回路の動特性
を、新しく開発されたポテンシャル法を用いて統一的に解釈できることが述べられている。このポテンシャル関数法はS-SEED回路の他に、R-SEED等の他のSEED回路構成のみ
ならず、種々の非線形な電界吸収効果を有する電気回路として見られる半導体光変調器
や半導体レーザーダイオード等の動特性解析にも利用できる可能性を有している。この
ポテンシャル関数法により、SEEDにおける電気回路的な動特性は初めて総てあきらかと
なった。
また、ワニエ・シュタルク局在効果を利用したSEED素子に特徴的な、双安定ヒステリシス特性中の通常のDC光入力では到達できない孤立した準安定状態が初めて発見され、それを利用した多状態間の光スイッチングについて、上記ポテンシャル関数法を利用した動特性解析によって解明することができた。
上記に加え、WSL-SEEDにおける多峰性負性抵抗領域を利用すると全光型3端子アナログトランジスターを実現できることが初めて発見され、このようなゲインを有する光トランジスターの実現もWSL-SEEDならではの多機能性であり、本報告においては動作原理の解析およびゲインを増すにはどのようにすればよいのかが解説されている。
なお、本報告の作成においては、第1章~4章と第5章の第1節を細田が、第5章の第2節以降を冨永が担当した。