TR-O-0086 :1995.12.15

一井麻理子, Peter Davis

PAL-SLMの基本特性とその応用可能性

Abstract:神経回路網の研究、特にその計算機シミュレーションにおいて計算量の爆発的増加は避けられない問題である。また電子回路、光・電子回路での模倣もなされているが、ニューロン数やインターコネクションの集積限界がある。これに対し、全光型回路はビームスポットを有効に使うことによりこれらの問題を解決できる可能性を持つ。 PAL-SLM(位相変調用空間光変調器)はパラレルアドレッシングが可能であることから全光型ニューラルネットワークの実現に有利である。本研究の最終的目的はここにあるが、そのためにはPAL-SLMの持つ変調特性について詳しい理解が必要とされる。また、一般的な問題であるインターコネクションの手法に関するさらなる研究も求められる。 本報告書では、まずPAL-SLMの構造および基礎特性に関する実験結果について述べる。次に2枚のPAL-SLMをレーザによるリング型共振器中に挿入し、open loop特性およびclosed loop特性について実験と計算機シミュレーションを行なった。ここでは光強度の双安定状態に加え、単一の外部トリガによるフリップフロップ動作が実現されている。最後に、全光型ニューラルネットワークヘの応用に向けて、その課題を述べる。