TR-O-0081 :1995.3.31

大鐘武雄

セルラ基地局の送受信アンテナ指向性制御による 周波数利用効率の改善

Abstract:セルラ方式においてクラスタ数を低減すれば,周波数利用効率を向上することができる.しかし実際には,同一チャネル干渉の影響により信号品質が劣化するため限界点が存在する.アダプティブアレーは狭いナルを形成することにより効果的に干渉波を抑圧することができることから,クラスタ数を低減できる可能性がある.そこで,本論文ではアダプティブアレーをセルラ方式に応用した場合に着目し,同一チャネル干渉除去による周波数利用効率の改善効果を定量的に評価する.具体的には,基地局アンテナのみにアダプティブアレーを適用することとし,上り回線では通常の動作により,同一チャネル干渉を軽減し,下り回線では受信時のアンテナパターンで送信することにより不要な放射を軽減することによりクラスタ数の低減を図る.クラスタ数を決定する基準としてSIRの累積分布を採用し,計算機シミュレーションを行った結果,TDD及びFDDの場合においてクラスタ数1が実現できることがわかった.これは無指向性アンテナと比較した場合,16倍の改善となるとともに,複雑な周波数割り当ての問題を解決できる可能性を示している.