TR-O-0062 :1994.3.9

馬場清一

MMICデバイスプロセス技術

Abstract:ATR光電波通信研究所では、腕時計型移動体通信器(リストフォン)の実現に向けて、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)の超小型化・高集積化・高機能化の研究が進められてきた。その研究成果は[1]、線路一体化FET および多層化MMIC技術として広く知られるようになり、本分野における業績 は大きい。一方で、このような超小型移動端末器の存在を可能にする通信ネットワークとして、光ファイバミリ波サブキャリア伝送系の研究を進めてきた[2]。 こうした新しい通信ネットワーク(情報処理も同様である)の概念を浸透させ、実現させるためには、必要とされる機能を集積回路化することが最も有効な手段で あると考える。報告者は、超小型MMICの研究をさらに進展させ、またMMICに光制御機能を付与する研究を行なった。ここでは、その研究成果の総括を目的とし、次の事項について述べる。 (1)多層化MMIC (2)光マイクロ波集積回路(MOMIC)・光集積回路。 多層化MMICでは、薄膜線路、積層線路および結合線路の構成方法を提案し、 また、これらを用いた各種マイクロ波回路の設計・試作を行なった。そして、高性能・高機能な超小型MMICが実現できることを明かにした。一方、光マイクロ波集積回路では、マイクロ波素子としてのHEMTの光応答特性に着目し、その基本特性を明かにすると共に、光ファイバミリ波伝送系に適用した。そして、従来のpin-PDに比べて良好な伝送特性が得られ、集積化も容易であることを示した。また、報告者が提案した研究の幾つかはグループ内で進められ、大きく発展している。