小西善彦
光空間制御アレーアンテナの励振分布と放射特性
Abstract:本報告は,素子アンテナに給電するマイクロ波信号の励振振幅位相分布を,光学フーリエ変換とO/E変換を用いて光領域で生成・制御する光空間制御アレーアンテナに関して,レーザ光源として固体レーザの一種であるレーザダイオード励起Nd:YAGレーザを2台用い,差周波で所要のマイクロ波信号を得る2レーザモデルの励振分布および放射特性を検討したものである.
第1章では,本研究の背景について述べる.
第2章では,2レーザモデル光空間制御アレーアンテナの構成を示し,イメージマスクとして円形開口ピンホールマスクを用いた場合の励振分布と指向性を理論的に求める.
第3章では,まずレーザダイオード励起Nd:YAGレーザをレーザ光源として用いる2レーザモデル実験系を示し,円形開口ピンホールイメージマスクをフーリエ変換レンズの光軸上に配置しイメージマスク開口径を変化させた場合の励振分布実験を報告する.さらに,励振分布実測値を用いて放射特性を計算により評価し,イメージマスク開口径に対応したビーム形状を有する放射パターンが得られることを明らかにする.
第4章では,イメージマスクをフーリエ変換レンズの光軸と直交する面内で移動させた場合の励振分布と放射パターンを検討し,イメージマスク移動量に対応した位相勾配が励振分布に発生し,イメージマスクの移動によりビーム走査が実現できることを確認する.
第5章では,まとめとして,本研究で得られた結果について総括する.