TR-O-0034 :1990.9.1.

今堀博之

多重波伝搬特性と等化方式の研究

Abstract:高速ディジタル移動体通信を実現するためには多重波伝搬構造を明らかにして一般性のある伝搬モデルを確立すると共に、通信システムを構成する各要素の多重波伝搬環境における特性を明らかにし、更に劣悪な伝搬環境によって劣化した受信信号から必要な情報を得るための干渉除去技術を実現することが不可欠である。報告者は昭和62年9月よりATRに在籍し、電波干渉除去技術の研究というサブテーマのもとに多重波伝搬特性と等化方式の研究を行ってきた。本報告はその研究成果をまとめると共に、ATRにおける今後の電波干渉除去技術の研究の一助となることを希望して著されたものである。本報告の内容は概説を除くと4章からなり、それぞれ、1)多重波伝搬遅延時間測定装置の試作、2)等化器の現状と即時等化方式の提案、3)ダイバーシチ枝間相関係数変動特性の研究、4)屋内多重波伝搬特性の実験的検討、より構成される。これらの報告の中には本年度になってようやく研究環境が整ったテーマもあり、研究が緒についたばかりなので、今後の研究の進展を切に願う次第である。なお、本報告においては各章ごとに参考文献を掲載しているために、文献に重複があることをあらかじめ御了承頂きたい。