TR-O-0011 :1989.8.31.

土屋博

選択ドープ量子井戸のサブバンド構造とサブバンド間吸収の解析

Abstract:近年、超薄膜結晶成長技術の進歩により、量子井戸構造が良質かつ再現性良く作製できるようになった。また、量子井戸構造に対する要求も多種・多様化してきている。この様な状況において、選択ドープの手法は電子デバイス、発光デバイスにおいて欠くことのできない技術となってきている。本研究では選択ドープ量子井戸構造におけるサブバンド構造をセルフコンシステントな計算によって求め、井戸内蓄積電子面密度にドーピング濃度による飽和特性があることを示した。 また、この飽和領域における電子面密度のスペーサー層厚依存性を明かにした。 続いて、これらの選択ドープ量子井戸のサブバンド構造の計算結果より、サブバンド間吸収のスペクトルを求めるプログラムを作成し、その構造依存性を示した。 障壁層ドープ構造に比べ、井戸層ドープ構造の方が振動子強度が強くなることを明らかにした。障壁層ドープ構造ではドーピングを増加するに従い、吸収ピークエネルギーは低エネルギー側にシフトし、井戸層ドープ構造では高エネルギー側にシフトすること、吸収強度はドーピングを増加するに従い、どちらの構造でも強くなることを示した。また、レーザ照射により吸収スペクトルが変化する実験に対する解析を行い、そのメカニズムについて考察を行った。