TR-O-0008 :1989.1.29.

角田紀久夫、豊田一彦、相川正義

有限要素法を用いた導波路の 電磁界解析プログラムマニュアル

Abstract:電磁界の数値解析手法はマイクロ波回路の設計において有力な道具となっており、有限要素 法(FEM)や境界要素法(BEM)などが多く用いられている。しかし、市販のソフトウェアでは、 機構解析用や電磁気においてはポテンシャル問題に限られているようであり、波動問題に関す る解析ソフトウェアは簡単に入手はできない。現在、ATR光電波通信研究所ではこれらのソフ トウェアの充実を計るため各種解析プログラムの自作及び共同開発を進めている。この度、大 阪大学松原助教授の援助·指導のもと有限要素法による導波路の電磁界解析プログラムを整備、 作成したのでここに報告する。 この電磁界解析プログラムは進行方向に一様な閉じた導波路(放射を考えない)において2次元 波動場を解析し、周波数入力にたいする伝搬モードの位相定数および管内波長・2導体系におけ る特性インピーダンス値・実効誘電率・金属上電流により生じる伝搬ロスが求められる。ただし 金属上に生じる電流と表皮抵抗値の積から伝搬ロスを求めており、表皮厚が問題となるような 薄い金属導体の場合は解析できない。 本マニュアルは、以下の構成で記述している。2章はプログラムで使用している基本的な数 式を示している。3章はこのプログラムの使用方法を記述したプログラムの使用マニュアルで ある。また4章はプログラムの全体構成、プログラムリストの内容について簡単な説明をして いる。最後に5章に実施例を示した。 なおプログラム自体、計算時間·記憶容量などの効率化やプログラムの操作性がまだ不十分で はあるが、本説明書を参照のうえユーザーサイドで継続的に改定してほしい。また誤り等発見 した場合はこのマニュアルも含めて修正してほしい。