TR-IT-0212 :1997.3

水梨豪

ジェスチャをともなう発話とともなわない発話の比較

Abstract:ポインティング・ジェスチャをともなう発話とともなわない発話の差異を把握するために、マルチモーダル対話環境におけるジェスチャをともなう発話と電話対話における発話を、文の長さ、発話時間、ポーズ時間、発話のスピード、使用品詞、言い間違いなどに関して比較した。その結果、以下の結論を得た。

1)1ターンの発話時間、発話のスピード、1ターン中のポーズ数、ひとつのポーズの長さ、発話時間に対してポーズ時間が占める割合、1ターン中の単語数と文字数、1ターン中のCommunicative Act単位の数、構文の曖昧性、言い間違いの頻度・性質に関しては、差異が認められない。

2)代名詞と連体詞の使用については、ジェスチャをともなう発話のほうが頻繁になる。そして、そこでは、近接指示をあらわす「こ」がつく代名詞、連体詞が多用される。

3)言い淀み(間投詞)は、ジェスチャをともなう発話よりも、ともなわない発話によく出現する。