美馬秀樹,古瀬蔵
日英間変換主導翻訳の中間時評価
Abstract:本稿では、変換主導翻訳機構(Transfer-Driven Machine Translation,以下、TDMT
と呼ぶ)に対し行った中間時評価試験の内容、及び日英、英日翻訳の評価結果について
述べる。
著者らは、経験的な言語知識の利用という統一的な処理機構による多言語間の対話翻
訳の実現を目的とし、変換主導翻訳機構について研究を進めている。TDMTでは、多
言語による話し言葉に対し、実時間でのコミュニケーションのための効率的な翻訳処理、
文法から逸脱した表現等の多用な言い回しに対する頑健な翻訳処理が実現可能となる。
翻訳システムの評価においては、評価基準の設定や評価結果の解釈等、難しい問題が
存在するが、話し言葉翻訳に対しては、その機能的な側面より、会話としての自然さ
や、理解の容易さが重要であると考え、本評価では、翻訳結果の理解可能性や、伝わ
る情報の正確さに重点を置いた評価を行った。