TR-I-0252 :1992.3

山岡孝行,久世谷正則,山田恭寛

協調的な目標指向型対話における文形式と発話者の意図との対応

-文末形式規則による情報伝達行為判定システム-

Abstract:本報告では,自然言語処理の分野の対話理解における研究の一部として,発話レベルの処理での[発話者の意図]と[文の形式]とを関連づけ,発話された文の意味を捉えることを実現したシステムについて述べる.[文の形式]では,文末形式に注目した規則を利用した.また,発話者の意図を表す表現として情報伝達行為を導入した.ここで報告するシステムのモデルは,相対的に処理が容易と思われる協調的な目標指向型対話を考察対象とし,発話が果たす基本的な情報伝達行為を分類することにより,話し手の意図を表す表現の曖昧さを解消するものである.そして,この情報伝達行為と文末形式との対応規則をもとに,知識ベースを作成し,実際の対話との間でストリングによるパターンマッチングを行い,情報伝達行為を抽出する実験を行った.今回の実験では,ATR対話コーパスである国際会議の参加に関する(質問者と事務局との)問い合わせ対話を利用した.そして,実験の結果,処理速度の問題が今後の課題として残ったが,発話文の約90%に対して情報伝達行為の候補を得ることができた.