TR-I-0203 :1991

服部浩明,中村哲

話者重畳型HMMに よる文節認識

Abstract:話者適応を行う際に問題となる話者間の調音様式の違いに対処するための手法として、複数話者HMM学習をもちいる方法(話者重畳型HMM)を提案する。話者重畳型HMMは複数の学習用話者の音声を静的なスペクトルの写像によりー名の基準話者の空間へ写像し、それらの写像された音声を用いてHMM学習を行うものである。これにより、静的には一人の話者でありながら、動的には複数の話者の調音様式を含むHMMが得られる。男女各一名を未知話者とし、男性6名を標準話者として評価実験を行い本手法の有効性の検討を行った。日本語23音韻を用いた実験では第一候補で71.3%、第三候補までの累積認識率で93.2%と、従来の静的なスペクトルマッピングのみの場合に比べ、それぞれ0.7%と1.5%の改善が得られた。また、日本語279節を用いた評価実験では、従来法と組み合せることにより第一候補で74.9%、第五候補までで96.2%の文節認識率を得た。とくに、累積文節認識率では特定話者の98.9%に近い認識率が得られ、本方式の有効性が確認された。