TR-I-0200 :1990.3.8

工藤育男

一つの対話理解機構の試み: 文脈的否定現象のモデリングについて

Abstract:対話理解の研究として、対話の進行とともに、何が正しくて、何が誤っている のかを捕らえる機構(命題の真偽値の維持・管理機構)を開発した。すなわち、自然 言語処理と結び付けて動作する命題の維持・管理機構を作成した。そのために、命 題の真偽値を変える働きをする表現について調べた。ここでは、特に、否定表現に ついて考察した。というのは、否定表現は、命題の真偽値の決定をし、さまざま な表現がとられるからである。ここでいう否定表現は、従来の国語学で扱ってき たような現象ではなく、命題の真偽値に影響を与える文脈的な否定現象である。 この文脈的否定現象の表現、および、その機能について考察し、モデル化を行う。 さらに、このモデルを実際のシステムに組み込むために、自然言語処理機構と命 題の真偽値の維持・管理機構を効率的に動かす機構について設計開発した。