TR-I-0039 :1988.8

逸見研一

解析用辞書開発作業に関する一考察

Abstract:解析用辞書の記述は、その妥当性を解析の試行により検証しながら進められる。こ の方法によれば、辞書記述上に問題がある場合、不首尾な結果が得られる事から問題の 存在が判明するだけで、どこをどう直せばよいのか知るためには、プログラムのデバッ グのように、トレース情報などから、語彙記述のレベルに還元する操作が必要となっ てくる。この作業は一般に簡単ではなく、この点が解析用辞書開発作業のボットルネ ックとなっている。本稿では、語彙記述の機能からその記述が妥当であるための必要十 分条件を計算する方法を述べ、さらに、こうした条件下での記述を容易に行う方法を明 らかにした。このように妥当な範囲で辞書記述を進めることによって、処理の試行によ る検証作業に代えることができ、上述の困難を避けることが期待できる。