鵜木祐史,入野俊夫
非対称性補償形ガンマチャープフィルタの近似精度の改善
Abstract:本報告では、IIR形非対称性補償形ガンマチャープフィルタの近似精度の改善を試みた。先に提案された非対称性補償形ガンマチャープフィルタには、その非対称性を決定するフィルタのパラメータが発見的に決定されていたため、近似精度を更に高められる可能性が残されていた。また、その近似精度を求めたときのパラメータ空間が比較的狭く、疎であることから、これを広く、密にした場合に同程度の近似精度を保持できる保証がなかった。本稿では、はじめに非対称性補償形ガンマチャープフィルタの近似特性の特徴を調べ、その問題点を洗い出した。この問題点に対し、非対称性補償フィルタにおける極／零点の折り返しに対する制約を加味し、各パラメータの適切な設定方法を再考することで、先に提案した非対称性補償形ガンマチャープフィルタよりも約半分の実効誤差で近似できる非対称性補償形ガンマチャープフィルタを実現した。また、ガンマチャープフィルタを実際に利用するパラメータ空間において、その範囲を広く、密にした場合でも、良好な近似精度を保持できることを示した。