TR-H-0286 :2000.3.8

和久本雅彦,正木信夫,本多清志,草川直樹,大上壽一,青山一美

舌圧測定センサシステムを用いた 調音時の舌口蓋接触圧測定の試み

Abstract:この論文では、調音時の舌-口蓋接触圧測定用に開発された高感度の薄膜フィルム状圧力センサを用いた圧力感応型パラトグラムシステムについて詳述する。このセンサは2枚の電極と、その表面の感圧インク層より構成され、荷重により変化する電極間の抵抗値を検出する仕組みとなっている。センサ感圧部の直径は3 mm、厚さは約0.1mmである。この圧センサは37℃環境下で7.65x10-2~1.4x10-2 kPaまでの圧力に対して出力するよう設計されている。実際の舌-口蓋接触圧測定時には、センサが2~4個配列されたセンサシートを各被験者用に作成された口蓋版に配列し、計測を行った。この圧センサの性能を検査するため、日本語破裂音[t]、[d]を含む検査音を用いて、接触圧と口腔内圧の変化を同時に計測する実験を行った。10名の被験者より得られた結果では、[t]調音時の舌-口蓋接触圧の方が、[d]調音時のそれよりも高いことが示された。 それに加えて、舌の接触範囲外に配置されたセンサでは何の圧力変化も検出されなかったことから、このセンサは子音閉鎖時の口腔内圧変化には反応しないことが明らかとなった。