TR-H-0271 :1999.6.3

川人光男,銅谷賢治,春野雅彦

小脳多重内部モデル仮説:感覚運動統合からコミュニケーションヘ

Abstract:最近の計算論と神経生理学的な研究によって、運動器官の内部モデルが小脳内に,シナプス可塑性に基づき、運動学習によって獲得されることが示された。また一方で、小脳が運動制御に限らない、高次の認知活動全般に重要な役割を果たしていることも明らかになってきた。ここでは、小脳が、言語を含むコミュニケーションなどの高次認知活動でどのように働くのかに関する、包括的な計算理論を多重モデル対の枠組みで提案する。このモデルが、小脳を中心とする神経回路にどうマップされるかを示す。基本的なモデルを、階層化することによって、シンボル接地問題をダイナミクスに基づくモジュール化の観点から解決する。さらに、心の理論の考え方に基いて、コミュニケーションの計算理論を構築する。