TR-H-0140 :1995.4.3

山口真美, 尾田政臣

顔の感性情報処理の研究方法について

Abstract:本研究では,顔に対する感性情報処理の研究について,特に顔というヒトの刺激に対する感性情報処理の研究方法と問題点について論じていく. 近年,機械とヒトとのコミュニケーション,ヒトの視点に立ったヒューマンインターフェース等の確立のため,ヒトの”感じ方(感性情報)”を探る研究が脚光を浴びつつある.ヒトの”感じ方”については,心理学の領域では,社会心理学・発達心理学・最近では認知心理学といった分野での研究の積み重ねがある.しかしどちらかというと近年まで,工学の分野と同様心理学の中でも,ヒトが”どう感じるか”よりも”どのように考えるか”についての研究が集中して行なわれてきたようである.ところが,この数年,日本心理学会での”情動動機づけ”領域での発表件数も増加傾向にあり,心理学の領域でもヒトの”感じ方”の研究の重要性の再認識の機運もある.ここでは,顔の感性情報処理の研究について,心理学の分野での知見を踏まえつつ論じていく. 顔の感性情報処理を研究することにあたっての問題として,感性情報自身が曖昧であり,感性情報が評価する側の要因によって容易に変化するように見えること,さらには評価対象である顔の情報処理過程が曖昧に見えることが挙げられる.まず,顔をどのように定量化するか,感性情報処理にどのような仮説をたてて使用するかという問題について述べていきたい.