TR-C-0153 :1996.3.15

沖也寸志

オブジェクト指向データベースシステムにおける完全性のための機構と設計支援手法

Abstract:本報告では,オブジェクト指向データベース(OODB)におけるデータの完全性(Data Integrity)のための機構と設計支援手法について述べる. 通信技術およびネットワーク技術の進歩に伴い,ネットワークは高度かつ多様なサービスを提供できるようになりつつある.それに伴い,ネットワーク管理データベースはこれまで以上に多くのサービス情報やユーザ個人の情報を扱うことになるため,データベースセキュリティがますます重要になる.特にネットワーク管理にもオブジェクト指向パラダイムを導入することが主流になりつつあることを考えると,OODBのセキュリティは重要であると考える. データベースセキュリティの主な課題として,機密性と完全性がある.これまでのOODBのセキュリティ研究では,機密性の研究がいくつか報告されている.しかしながら,OODBの完全性の研究は,その重要性にもかかわらずほとんど報告され ていない.本報告では,まずデータの完全性のためにインテグリティレベルを用いた強制アクセス制御を導入について述べ,次にセキュリティ上の要求を満たす適切なインテグリティレベルを設定するための設計支援手法について述べる.最後に, まとめを行う.