TR-C-0118 :1994.4.14

安部伸治

定性的システム同定法とデータ共有技術との関連について

Abstract:本報告では、定性推論の枠組を利用した数量的な一貫性の発見に関する研究を紹介し、 データ共有技術への応用に関する提案を行なう。ここで言うデータ共有技術とは、様々な目 的で蓄積されたデータ群をある目的のために一括して利用したり、蓄積されたときとは別の目的でデータを利用して、今着目している何らかの現象を予測するために役立てる技術を指すものとする。 今、自分が(あるいは着目しているエージェントが)知りたい事柄について、ネットワーク上分散的な複数のデータ(データベース)群を利用して調査を行なう、という状況について考えてみよう。このとき、知りたい事柄がどのデータベースにも明示的に記述されていなかったり、あるいはデータ構造が異なるがために参照できないという状況が比較的頻繁に発生するものと思われる。このような状況に対し、過去に蓄積された沢山のデータ群を利用して今知りたい事柄にどこまで迫れるか、と言った一種の予測技術についての議論は極めて有意義である。 本研究では、数量的な予測に必要なモデル獲得手法のひとつとして現在まで研究を行なってきた、定性推論をベースとしたシステム同定法について紹介し、これを足掛かりとしたデータ共有技術について、その要素研究課題を明らかにする。