TR-C-0116 :1995.4.14

深山尚

通信サービス仕様STRからプログラム仕様SDLへの変換

Abstract:通信サービスに対する仕様記述言語として,SDL[1]やLOTOS[2]など数多く存在する. SDLでは,サービスを実現するプロトコルを規程することにより,通信サービスを規定している. LOTOSでは,お互いに相互作用を行うサブプロセスの集合からなるプロセスとしての対象をモデル化している.プロセスはブラックボックスとして扱っているが,プロセス間の同期を仕様として記述するので,通信システムの外部から認識可能な仕様だけでは完全な仕様を記述することはできない. ここで提案するSTR[3,4,5]は以下の特徴を持っている.外部から認識可能な端末の状態変化を仕様として記述することにより,通信システムの詳細知識を持たない通信システムの非専門家でも通信サービス仕様を設計することができる. STRによって書かれた通信サービスを実機上にて実現するため,プログラム仕様へと変換を行わなくてはいけない.状態遷移図を表示でき,一般に使用されているSDL仕様をプログラム仕様とする. 本稿では,STR仕様からプログラム仕様であるSDL仕様へ自動変換する手法を提案する.プログラム仕様へと変換された通信サービスは,プログラミング言語へと変換される.この自動変換により,通信ソフトウェア開発の短縮化,簡略化を図ることができる. 次の章では,これらの通信ソフトウエア設計手法について述べ,3章では,外部から認識可能なサ—ビス記述言語について述べる.4章では,通信プログラム仕様記述言語を述べ,5章では,サ—ビス記述言語,通信プログラム記述言語の関係について述べる.6章より具体的にサービス記述言語から通信プログラム仕様への変換について述べる.7章にて自動変換のまとめと今後の課題について述べる.