TR-C-0096 :1994.2.28

渡部敦志,内海章,竹村治雄

仮想空間における奥行き知覚に関する実験移動視を用いた手振り認識に関する実験

Abstract:テレビ会議のように相手の映像の方向が固定されているのではなく、通信ネットワークを用いて相手の動き情報を用いて常に視点位置に合わせた映像を供給したり、議論対象になる仮想オブジェクトを動かすことのできるシステムを臨場感通信会議という。このシステムの実現には立体表示技術が重要な要素を占めている。知能処理研究室では液晶シャッター式立体視メガネと大型スクリーンを用いた臨場間通信会議の表示システムを構築している。このシステムについて両眼視差による立体表示が正確に行なわれているかの検証を行なった結果、正しく瞳孔感距離を設定した時に両眼視差による表示位置の調節が十分な精度でできていることが確かめられた。ところで、本システムを含む多くの立体表示システムでは、瞳孔間距離を標準的とされる値に固定している。しかしながら、瞳孔間距離については個人差があるほか、一被験者に限っても輻輳角に伴って変化することが考えられ、これらにより両眼視差による知覚距離にズレが生じるものと思われる。そこで本研究では、まず輻輳変化によるズレが理論通りであるかどうかについての測定を行なった。その結果、輻輳変化によって予想されたよりも大きなズレが観測され、両眼視差以外の原因が関係している可能性が出てきた。より質の高い立体表示を行なう為にも、これらの要因の影響の程度を知ることが有用である。両眼視差以外の要因として目の持つ具体的には焦点調節機能、仮想物体の解像度の違い等がここではまず解像度の違いに注目して実験を行ない、前述の結果と比較することで奥行き知覚に及ぼす影響を検討した。