TR-C-0092 :1993.11.8

午道登世和,ジュリ ティヘリノ

パーソナル・コンストラクト・心理学実験にもとづく自動車記述のための概念検出可能性に関する研究

Abstract:最近、臨場感通信会議システム[1]等の知的通信システムに関連した研究が重要な位置を占めてきている。なかでも、曖昧性をもつ自然言語と空間画像情報を結びつける知的処理として、共同作業空間上に配置された物体の位置を変更等できる実験システムが考案されている[2]。 また関連した研究として、自然言語により固定物体の形状の変更ができるようなシステムを構築しようとする試みが行なわれている[3]。この研究では、概念集合(つまりオントロジー)を用いて3次元物体の生成・修正などの可能性を追求している。 本報告では、このシステムの実現化のために、個々人が自然言語でどのような概念を発生しゆくか?、ということを、被験者をたて、特定の2次元物体について実験をする。また、この実験では、個々人の概念を集めるために、パーソナル・コンストラクト・心理学(PCP)[4]という一つの心理学を基本概念にして、その応用[5]とともに、実験を進める。ただし、実験を進めるうえでは、対象物を限定して被験者に提示する点が、今までの心理学実験にないところと言える。 具体的に実験を進めるうえで、個々人の概念を曖昧な自然言語から解読するのは、かなり漠然としたものであるので、有効な実験結果を得るには、多くのパターンが必要だと考えられる。しかし、時間的制約条件から、実験に条件をかけて、少ないデータでも、有効な成果が期待できるように考える。そのために、実験のオブジェクトとしては、2次元のワイヤーフレームを用いた簡単な物体に限定して、行なうことにする。対象を絞ることによって、漠然とした概念の中からでも、比較的共通した言葉が導出されると、期待される。データの少なさは大きな弱点だが、こうすることによって解消されるであろう。このように本研究は、ETS.システム[6]をはじめ、PCPが知識ベースシステムのための知識獲得の一つの方法として、数多く使われている実績もあり、実験自体の有効性と実験の進め方について、いくつかのの情報を提供し、今後の研究に役立つと考えられる。